序段. つれづれなるままに
- いでや、この世に生まれては
- いにしへのひじりの御代の
- よろづにいみじくとも
- 後の世の事
- 不幸に愁に沈める人の
- わが身のやんごとなからん
- あだし野の露消ゆる時なく
- 世の人の心惑わすこと
- 女は髪のめでたからんこそ
- 家居のつきづきしく
- 神無月の頃
- 同じ心ならん人と
- ひとり燈のもとに
- 和歌こそ
- いづくにもあれ
- 神樂こそ
- 山寺にかきこもりて
- 人はおのれをつづまやかにし
- 折節の移り變るこそ
- 某とかやいひし世すて人の
- 萬のことは月見るにこそ
- 何事も古き世のみぞ
- 衰へたる末の世とはいへど
- 斎宮の野の宮に
- 飛鳥川の淵瀬
- 風も吹きあへず
- 御國ゆづりの節會
- 諒闇の年ばかり
- 静かに思へば
- 人の亡き跡ばかり
- 雪の面白う降りたりし朝
- 九月廿日の頃
- 今の内裏作り出されて
- 甲香は
- 手の悪き人の
- 久しく訪れぬ人の
- 朝夕へだてなく
- 名利に使はれて
- ある人、法然上人に
- 因幡の国に
- 五月五日の賀茂の競馬を
- 唐橋の中将といふ人の子に
- 春の暮つかた
- あやしの竹の編戸の内より
- 公世の二位の兄に
- 柳原の辺に
- ある人、清水にまいりけるに
- 光親卿、院の最勝講奉行して
- 老来りて、始めて道を行ぜんと待つことなかれ
- 応長の比、伊勢国より
- 亀山殿の御池に
- 仁和寺に、ある法師
- これも仁和寺の法師
- 御室にいみじき児のありけるを
- 家のつくりやうは
- 久しく隔たりて逢ひたる人の
- 人の語り出でたる歌物語の
- 道心あらば
- 大事を思ひ立たん人は
- 真乗院に、盛親僧都とて
- 御産の時、甑落す事は
- 延政門院、いときなくおはしましける時
- 後七日の阿闍梨、武者を集むる事
- 車の五緒は、必ず人によらず
- この比の冠は、
- 岡本関白殿、盛りなる紅梅の枝に
- 賀茂の岩本・橋本は
- 筑紫に、なにがしの押領使など
- 書写の上人は、法華読誦の功積りて
- 元応の清暑堂の御遊に
- 名を聞くより
- 賤しげなる物
- 世に語り伝ふる事
- 蟻の如くに集まりて
- つれづれわぶる人は
- 世の覚え花やかなるあたりに
- 世中に、その比
- 今様の事どもの珍しきを
- 何事も入りたゝぬさましたるぞよき
- 人ごとに、我が身にうとき事を
- 屏風・障子などの
- 羅の表紙は、疾く損ずるがわびしき
- 竹林院入道左大臣殿
- 法顕三蔵の、天竺に渡りて
- 人の心すなほならねば
- 惟継中納言は
- 下部に酒飲まする事は
- 或者、小野道風の書ける和漢朗詠集とて
- 奥山に、猫またといふものありて
- 大納言法印の召使ひし乙鶴丸
- 赤舌日といふ事
- 或人、弓射る事を習ふに
- 牛を売る者あり
- 常磐井相国
- 箱のくりかたに
- めなもみといふ草あり
- その物に付きて
- 尊きひじりの
- 堀川相国は、美男のたのしき人にて
- 久我相国は、殿上にて水を召しけるに
- 或人、任大臣の節会の内辨を勤められけるに
- 尹大納言光忠卿
- 大覚寺殿にて
- 荒れたる宿の、人目なきに
- 北の屋蔭に消え残りたる雪の
- 高野証空上人、京へ上りけるに
- 女の物言ひかけたる返事
- 寸陰惜しむ人なし
- 高名の木登りといひし男
- 双六の上手といひし人に
- 囲碁・双六好みて明かし暮らす人は
- 明日は遠き国へ赴くべしと聞かん人に
- 四十にも余りぬる人の
- 今出川の大殿
- 宿河原といふ所にて
- 寺院の号、さらぬ万の物にも
- 友とするに悪き者
- 鯉の羹食ひたる日は
- 鎌倉の海に
- 唐の物は
- 養ひ飼ふものには
- 人の才能は
- 無益のことをなして時を移すを
- 是法法師は
- 人におくれて
- ばくちの、負極まりて
- 改めて益なき事は
- 雅房大納言は
- 顔回は
- 物にあらそはず
- 貧しき者は
- 鳥羽の作道は
- 夜の大殿は
- 高倉院の法華堂の三味僧
- 資季大納言入道
- 医師篤成
- 花は盛りに
- 祭過ぎぬれば
- 家にありたき木は
- 身死して財残ることは
- 悲田院尭蓮上人は
- 心なしと見ゆる者も
- 人の終焉の有りさまの
- 栂尾の上人
- 御随身秦重躬
- 明雲座主
- 灸治あまた所に
- 四十以後の人
- 鹿茸を鼻にあてて
- 能をつかむとする人
- 或る人のいはく
- 西大寺静然上人
- 為兼大納言入道
- この人、東寺の門に
- 世に従はん人は
- 大臣大響は
- 筆をとれば
- 盃の底を
- にな結び
- 門に額打つ
- 花の盛りは
- 遍照寺の
- 太衝の
- 東人の
- 世の人のあひあふ時
- 人間の営みあへる
- 一道にたづさはる人
- 年老いたる人も
- 何事の式
- さしたること
- 貝をおほふ人の
- 若き時は
- 小野小町がこと
- 小鷹によき犬
- 世には心得ぬことの
- 黒戸は
- 鎌倉の中書王にて
- 或所の侍ども
- 入宋の沙門
- 左義長は
- 降れ降れこ雪
- 四条大納言隆親卿
- 人突く牛をば
- 相模守時頼の母は
- 城陸奥守泰盛は
- 吉田と申す
- 万の道の人
- 或者、子を法師に
- 今日はその事を
- 妻といふもの
- 夜に入りて
- 神仏にも
- くらき人の
- 達人の
- 或人、久我縄手を
- 東大寺の神輿
- 諸寺の僧の
- 揚名介に
- 横川行宣法印
- 呉竹は
- 退凡・下乗の
- 十月を神無月と
- 勅勘の所に
- 犯人を苔にて
- 比叡の山
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